『生命保険で貯蓄をするってどうなの?』に対する、資産形成FPとしての考え。

生命保険はコスト高?
生命保険というと、まず言いたいことは、コストが高いこと。
投資信託や預貯金などいろんな貯蓄用の金融商品がある中で、もっともコストが高い商品が生命保険だと思う。
そして、コストが高い金融商品には、あまりいいものがない。
私たちが生活している中で買っている、食べ物とか自動車など多くの商品は、高ければそれなりにいいものであることが多い。
でも、金融商品はそうではないことの方が多い。
そもそも金融商品って、何を買うにしていも、だいたい最後に到達するところは、同じところ。
株式や債券、不動産などといった資産に行き着く。
それらの資産が、生命保険や投資信託、預貯金などに加工されて、販売されているのが金融商品。
加工すれば、当然のように加工するためのコストを要求してくるのが、事業者というものです。
金融業者とは、投資資産を加工し、さらに販売し、それに対するコストを要求して利益を上げているというわけです。
だから、加工される前の金融資産に直接投資をした方がリターンがいいのは当然。
そんな金融商品の中でも、もっとも複雑に加工されたものが、生命保険。
生命保険のコストが高くなるのは、当然と言えば当然。
もちろん貯蓄先としてのパフォーマンスは、コストが高いのは致命的だと思っている。
生命保険で貯蓄する?
貯蓄先としての選び方としては、価値の変動、利回り、そして現金化のしやすさ、があります。
生命保険は、外貨建てや変額保険でもなければ、価格の変動はない。
注意すべき価値の変動は、通貨価値の変動であるインフレぐらいです。
この点では、投資信託などと比べると、とても手堅い貯蓄先だと思う。
また、利回りに関しては、手堅い金融商品として代表的な預貯金や定期などに比べると、そこそこ良い数字になっている。
生命保険に支払ったお金のすべてが、貯蓄に回っているわけではないけれど、それなりのリターンは提供されているようです。
価値の変動、利回り、これらについては、手堅いわりに悪くない気もする。
問題は、現金化のしやすさです。
金融商品などの現金化のしやすさのことを流動性といいます。
実は、生命保険は、この流動性がとても悪い商品。
生命保険は、加入してすぐ現金化(解約)と損する商品。
これは、正直現金化しにくい。
解約したいと言えば、手続き自体は早いものだが、実際には営業員の引き留めにあう事もある。
これって、本当めんどくさい。
正直、生命保険は現金化に問題ありの商品です。
現金化が、ずっと後なのであれば、現金化が多少しづらくたって問題ない?
でも、個人的には、より有利な貯蓄先が見つかったら、すぐにでもそっちに資金を動かしたいと考えている。
ある程度の流動性を確保しながらの貯蓄でなければ、そういうことができません。
という事で、生命保険で貯蓄するというのは、個人的に好みの考え方ではないわけです。
生命保険で貯蓄するな?
生命保険は、預ける時のコストが高く、現金化に難がある。
預貯金や定期よりも利回りが上だと言っても、何十年と積んできたことに対する利益と考えたら、たかが知れていると感じている。
途中で解約(現金化)すると、損することになるから、突然現金が必要になったときなどには、全く使い物にならない貯蓄。
結論から言えば、個人向け国債の方がいいじゃないかと思っている。
個人向け国債の利回りは、生命保険の予定利率よりも若干低いところもあるけれど、たいした差ではないし。
なにより1年経過すれば、損することなく中途換金(現金化)ができる。
そこそこの利回りで、突然お金が必要になった時にも対応でき、国という保証付き。
生命保険で貯蓄するより、まずは個人向け国債を検討したいところです。
しかし、そんな生命保険も全くダメという事でもないと思っている。
生命保険での貯蓄に向ている人は、『貯蓄が苦手』という人です。
貯蓄が苦手な人にとっては、『換金しづらい』という、本来生命保険のデメリットである特徴が、かえってメリットになることもあるようです。
勝手に口座から引き落とされ、換金しづらいところに預けられる。
強制的な貯蓄先としては、意外と優秀なのかもしれない。
個人的には、生命保険で貯蓄をするのは、全く好みではないし、また人にお勧めしたいと思うものでもないけれど。
使い方によっては、悪くない時もある。
要は、金融商品というのは、良い悪いで判断するものではなく、どうやって使うか次第という事です。
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