アセットアロケーションの基礎知識、資産配分を一定に保つ効果とは?

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ポートフォリオ運用の方法?

複数の資産に分散投資するポートフォリオ運用、その資産配分を考えることを、アセットアロケーションと言ったりします。

特にアセットアロケーションの中で重要なポイントが、何にどのくらいの割合で投資をするかになります。

例えば、株式資産に全体の50%、債券に30%、不動産(REIT)に20%などのようなことです。


ポートフォリオ運用のやり方には、その資産配分の割合を『機動的に変更』するタイプと『常に一定に保つ』タイプの2つの考え方があります。

個人的には、『機動的に変更』するタイプの方が効果が高いのではと思ってはいますが、あまりちょこちょこ変更していると、売買のタイミングをミスして、かえってパフォーマンスが落ちることもあるものです。

そこで、一般的には資産配分を『一定に保つ』タイプの運用法がおすすめとなっているものです。

実は、資産配分を『一定に保つ』ことで、意外なメリットがあるのです。


資産配分を一定に保つメリット?

投資で儲かる原理原則と言えば、「安く買って、高く売る」ことになります。

このことに異論はでないことと思います。

ところが、「『安く買って』と『高く売る』タイミングについては、誰にも分らない」と言う認識が一般的になっています。

(個人的には、明らかに『安い』と感じることがありますが・・・。)

そこで、「安く買って高く売るタイミングは誰にも分らないから、ドルコスト平均法で毎月積立をするのがいい。」という意見に落ち着いているのをよく見かけることがあります。


実は、資産配分を一定に保つように運用していると、機械的に「安く買って高く売る」ができるようになるのです。

たとえば、株式50%:現金50%の資産配分で運用していると、株価が上昇すると、株式と現金の資産配分は50:50から崩れてきて、例えば60:40のように変動してきます。

このとき、資産配分を一定に保とうと考えると、配分割合が増えた株式を売却し、現金化する必要が出てきます。

逆に株価が下落すると、株式40:現金60のようになることもあります。

このときには、現金を減らし、株式を増やすために、現金で株式を買い増す必要が出てきます。

つまり、株価が上昇しているときは、株式を売却。株価が下落しているときは、株式を購入。という流れが、機械的に行われることになるわけです。

まさに、「安く買って、高く売る」発想です。


ドルコスト平均法を超える?

最近あまり見かけなくなりましたが、ドルコスト平均法を超える投資法として、『バリュー平均法』という考え方がありました。

バリュー平均法とは、高値の時は少なく買って、安い時にたくさん買うという発想の投資戦略です。

ドルコスト平均法が一定額づつの積立であるのに対し、相場に合わせて買い分量をコントロールする方法です。

実践方法がややこしいこともあり、あまり普及しなかったのかもしれませんが、資産配分を一定に保つ投資信託に積立投資をする発想は、これに似ています。

先ほどと同じ、株式50:現金50の配分で考えると。

株価が上昇している時には、毎月の積立額の半分で株式を買い、値上がりした分を売却することになるので、実質的な株式資産の買い分量は、少なくなります。

対して、株価が下落している時には、毎月の積立額の半分で株式を買うのは同じですが、株価が値下がりした分、ストックしている現金から株式を買い増ししていることになるので、株価が下落してる局面では買いの量が増えていることになります。

『資産配分を一定に保つ』というのは、とても単純でシンプルな投資戦略ですが、よくできた投資戦略だと思います。

シンプルであるがゆえに、多くの人が、投資信託などを通して気づかぬうちに実行してる可能性の高い方法なのですが、そのメリットとデメリットを理解してる人はあまり多くないことでしょう。

シンプルなものと言うのは、簡単であるという事よりも、よくその仕組みを理解することが大切で、そうすることで、本当の使い方がわかってくるものです。


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